特別養子縁組の流れと必要書類:申込みから縁組成立までの全ステップ
特別養子縁組を「やってみよう」と決意しても、最初に直面するのは「どこに行けばいいのか、何から始めればいいのか」という混乱だ。制度を理解することと、実際に動き出すことの間には大きな距離がある。
ここでは、民間あっせん機関経由のルートを中心に、申込みから縁組成立までの全ステップを具体的に整理する。
二つの経路:民間あっせん機関 vs 児童相談所
特別養子縁組のあっせんができるのは、法律上2種類の機関だけだ。
| 民間あっせん機関 | 児童相談所(行政) | |
|---|---|---|
| 費用 | 数十万〜200万円程度 | ほぼ無料 |
| 子どもの年齢 | 乳児(1歳未満)が多い | 幼児〜学齢期が多い |
| 待機期間 | 数ヶ月〜数年 | 数年 |
| 手続きの主導 | 機関が主導 | 行政が主導 |
| サポート | アフターケアが充実している機関が多い | 機関によって差が大きい |
民間機関では、乳幼児(特に新生児)との縁組を希望する夫婦が多く、年間を通じて約330件(令和5年度)が民間経由で成立している。
民間あっせん機関を利用する場合の流れ
ステップ1:説明会への参加
多くの機関は、申込みの前に説明会(オリエンテーション)への参加を求めている。費用は1カップル5,000円〜10,000円程度。制度の法的側面、費用の内訳、縁組後の真実告知まで、基本的な情報が提供される。
ステップ2:本申込みと書類提出
説明会参加後、正式な申込みを行う。ここで大量の書類を準備する必要がある。
必要書類の一般的なリスト
- 戸籍謄本(全部事項証明書)——夫婦の婚姻関係と身分事項の確認
- 健康診断書——子どもを長期間養育できる健康状態かの確認
- 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書等)——経済的安定性の証明
- 無犯罪証明書——各都道府県警察が発行する犯罪経歴証明
- 自己紹介書・動機書——養子を迎えたい理由と家庭環境の記述
- 写真(家庭の様子を示すもの)
- 住居の間取り図または写真
機関によって追加書類(不妊治療終了証明、近隣住民への意向確認など)が求められることもある。
ステップ3:ホームスタディ(家庭訪問調査)
機関の担当者が自宅を訪問し、住居の安全性・夫婦の関係性・養育への準備状況を確認する。「審査」というより「支援のための把握」という性格が強いが、訪問時の家庭の雰囲気は評価に影響する。
ステップ4:養親候補者として登録・待機
審査を通過すると「養親候補者」として登録され、実親からの委託相談を待つ。実親の相談が機関に入り次第、希望条件や状況のマッチングが行われる。
ステップ5:マッチング・委託
実親が特定の養親候補者への委託を望んだ場合、あっせん機関を通じて委託が行われる。新生児の場合、病院から直接養親宅に引き渡されることもある。
ステップ6:試験養育期間(監護期間)
子どもを迎えてから、家庭裁判所への申立てまで最低6ヶ月間の監護実績が必要だ(民法第817条の8)。この期間、機関の担当者が定期的に訪問・連絡し、養育状況を確認する。
ステップ7:家庭裁判所への申立て(二段階審判)
監護期間を経た後、家庭裁判所に申立てを行う。2020年改正後の現在は二段階の審判で進む。
- 第一段階:特別養子適格の確認の申立て(主に実親の同意と適格性の確認)
- 第二段階:特別養子縁組の成立の申立て(養親子関係の成立確認)
両段階とも、家庭裁判所の調査官が家庭訪問や面接を行い、子どもの最善の利益から判断する。第一段階の確定後は実親の同意撤回ができなくなる(2週間の猶予期間経過後)。
ステップ8:審判確定・戸籍届出
審判確定から2週間で確定した後、市区町村役場に届出を行うことで戸籍上の親子関係が完成する。
児童相談所経由の場合の流れ
児童相談所(jidou soudanjo)を通じた縁組は、まず「養子縁組里親」として登録するところから始まる。
- 市区町村の相談窓口または児童相談所に問い合わせ
- 説明会・研修(3〜6日程度)の受講
- 里親認定申請・審査(調査・訪問含む)
- 登録・待機
- マッチング・委託
- 監護期間(6ヶ月以上)
- 家庭裁判所への申立て・審判
費用は研修費程度で、マッチングや審判に係る実費は不要だ。ただし乳幼児(特に新生児)の委託は少なく、学齢期の子どもや特別な支援が必要な子どもが中心になることが多い。
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費用の目安(民間機関の場合)
| 費目 | 一般的な範囲 |
|---|---|
| 説明会費 | 5,000〜10,000円 |
| 研修費 | 15,000〜30,000円(人あたり) |
| ホームスタディ費 | 15,000〜200,000円 |
| マッチング費 | 100,000〜500,000円 |
| 寄付金(実親支援費) | 1,000,000〜1,500,000円前後 |
| 法的手続き費 | 30,000〜200,000円 |
総額は機関によって大きく異なる。費用の内訳と使途を事前に確認することが重要だ。
手続きの各段階で何が求められるか、どの機関が自分たちの状況に合っているかを詳しく把握するには、日本の養子縁組ガイド(完全版)が役立つ。機関比較のポイントから家庭裁判所での審判準備まで、全ステップを一冊で整理している。
よくある質問
Q. 申立ては養親が自分で行う必要がありますか?
第二段階の申立ては養親が行うが、書類の準備や手続きは民間機関や弁護士がサポートしてくれることが多い。裁判所への書面提出は養親本人が行うことも多いが、弁護士を代理人とすることも可能だ。
Q. 家庭裁判所は全国どこでもよいですか?
養親候補者の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要がある。東京家庭裁判所など、主要都市の家裁は混雑しており、審判確定まで時間がかかるケースもある。
Q. 縁組が成立しなかった場合、支払った費用は返ってきますか?
機関によって規定が異なる。説明会費・研修費は返金されないことが多い。マッチング前に辞退した場合の返金規定も機関ごとに違うため、申込み前に必ず確認すること。
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