再婚・連れ子の養子縁組:手続き・メリット・ステップファミリーの注意点
再婚して新しい家族を築くとき、多くの人が見落とすのが「婚姻届を出しただけでは、再婚相手と連れ子の間に法的な親子関係は生まれない」という事実だ。
義理の親子として一緒に暮らしていても、養子縁組をしていなければ、扶養義務も相続権も発生しない。この法的な空白を埋めるのが、再婚家庭における普通養子縁組だ。
連れ子養子縁組でできること・できないこと
養子縁組をすると、再婚相手と連れ子の間に法律上の親子関係が成立する。具体的には次の変化が起きる。
法的効果として生まれるもの
- 養親(再婚相手)の扶養義務:教育費・医療費・生活費を分担する義務
- 連れ子の相続権:養親が死亡した場合、実子と同じ割合で相続できる
- 養親の相続権:連れ子が先に死亡した場合、養親も相続人になる
- 姓の変更:連れ子は養親の姓を名乗れる(家庭裁判所の許可が必要な場合もある)
変わらないもの
- 連れ子と実の親(もう一方の親)との法的関係:普通養子縁組では実親との親子関係は消えない
- 実親の扶養義務と相続権:実親側も引き続き存在する
つまり連れ子は、実親と養親の両方の法定相続人になる。これは相続の面では有利だが、実親の死亡時に「前妻(前夫)の子どもと遺産を分け合う」ことになる点は、あらかじめ認識しておく必要がある。
手続きの流れ
再婚家庭での養子縁組は、特別養子縁組と違い、基本的に手続きが簡便だ。
未成年の連れ子を養子にする場合(家庭裁判所の許可が必要)
- 家庭裁判所に「養子縁組の許可」を申し立てる
- 家庭裁判所が子どもの利益を審査(書面審査が中心、呼び出しになることも)
- 許可審判が確定したら、市区町村役場に養子縁組届を提出
申立先は、養子(子ども)の住所地を管轄する家庭裁判所。申立書・戸籍謄本・収入印紙800円が必要だ。
例外:許可不要のケース
配偶者の直系卑属(つまり「再婚相手の連れ子」)を養子にする場合は、家庭裁判所の許可が不要とされていた。しかし、2020年の法改正により、未成年の連れ子を養子にする場合には原則として家庭裁判所の許可が必要になった点に注意が必要だ。
特別養子縁組は連れ子縁組に使えない
特別養子縁組は、実親の養育が著しく困難な子どもを対象とした制度であり、再婚家庭の連れ子縁組には利用できない。連れ子が健全な実親との関係を持っている場合はなおさらだ。連れ子縁組には、普通養子縁組が唯一の選択肢になる。
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ステップファミリー特有の注意点
再婚家庭での養子縁組は、法的手続きを終えてからが本番だ。子どもの心理的な側面について、現場の支援者は次の点を指摘する。
子どもの年齢と意向の確認
15歳以上の連れ子は、養子縁組に対し自分で同意する必要がある(民法第797条)。反対している子どもを無理に縁組しても、関係は悪化するだけだ。子どもが十分に理解し、自分の意思で同意できる状況かどうかを確認することが先決だ。
実親との関係をどう扱うか
連れ子には実親が存在する。養子縁組をしても実親との法的関係は切れないため、「どちらの親を「本当の親」とするか」という子どもの葛藤が生じやすい。養子縁組の有無にかかわらず、子どもが両方の親を大切に思う気持ちを尊重することが、ステップファミリーの安定には不可欠だ。
前配偶者の同意は不要(ただし配慮は必要)
日本の法律上、再婚相手が連れ子を養子にするために、前の配偶者(子どもの実親)の同意は必要ではない。しかし実際には、前配偶者が縁組に強い拒否感を持つケースもある。子どもを挟んだ対立を最小化するため、可能な範囲で話し合いを試みることが望ましい。
養子縁組をしない選択もある
再婚家庭だからといって、必ずしも養子縁組しなければならないわけではない。遺言書によって連れ子に財産を遺すことも、日常的な養育関係を維持することも可能だ。ただし、扶養義務が法的に発生しないこと、養親が突然死亡した場合に相続権がないことは、あらかじめ理解した上で判断すること。
再婚家庭の法的・経済的な関係を整理し、子どもの将来を守る選択をするための詳細な解説は、日本の養子縁組ガイド(完全版)でまとめている。
よくある質問
Q. 養子縁組をすると、子どもの戸籍はどうなりますか?
養子縁組届を提出すると、子どもは養親の戸籍に入り、養親の姓を名乗る。元の実親の戸籍には「除籍」の記載がなされる。
Q. 養子縁組後に離婚した場合はどうなりますか?
再婚後の離婚と養子縁組の解消は別の手続きだ。離婚しても養子縁組はそのまま維持され、扶養義務・相続権は継続する。縁組を解消したい場合は、別途「離縁」の手続きが必要だ。
Q. 連れ子が複数いる場合、全員を養子にする必要がありますか?
法律上、全員を養子にする義務はない。ただし一部の子どもだけを養子にした場合、相続分に差が生じ、家族内で不公平感が生まれる可能性がある。
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