LGBTカップルと里親:日本での認定事例と現実
「同性カップルは里親になれますか?」——この質問に対して、日本の制度は「法律上は禁止していない」と答える。しかしその先の現実は、自治体によって大きく異なる。
2017年に大阪市が全国で初めて同性カップルを里親として認定した事例は、日本の里親制度の多様化に向けた重要な転換点となった。あれから8年以上が経過し、状況はどこまで変わったのか——LGBTであることを理由に里親の道を諦める必要があるのか、この記事で整理する。
法律上の立場:禁止はされていない
児童福祉法および里親の認定基準には、「異性婚カップルでなければならない」という規定は存在しない。里親の認定は都道府県知事が行うが、欠格条項に「同性であること」は含まれていない。
里親の認定要件を定めた「里親委託ガイドライン」(厚生労働省)でも、「婚姻関係を有する夫婦」を前提としつつも、「単身者も条件を満たせば認定可能」とされており、同性カップルについて明示的に排除する文言はない。
つまり法的には、認定を認めるかどうかは各自治体の判断に委ねられている。
日本での認定・委託事例
2017年:大阪市の認定(単身者として)
2017年4月、大阪市が「里親になりたい」と申請した男性同性カップルの一方を、単身の養育里親として認定した。これが日本初の同性カップルによる里親認定事例として報道された。
ポイントは「カップルとして」ではなく、「一方が単身里親として」認定された点だ。現在の日本の多くの認定事例がこの形式を採っている。同居するパートナーは「家族の一員」として家庭調査の対象になるが、法的な里親資格は申請した一方のみが持つ。
その後の広がり
大阪市の事例後、東京都、千葉市など複数の自治体で同性カップルによる認定・委託の事例が報告されている。認定NPO法人フローレンスが「日本初、男性カップルの里親が誕生」と発表した事例も注目を集めた。
一般社団法人レインボーフォスターケア(LGBT×社会的養護)は、LGBTカップルの里親認定をサポートするNPOとして活動しており、実際の申請経験者のネットワークを持つ。
自治体による対応の格差
認定の可否は、依然として居住地の自治体によって大きく左右される。
比較的前向きな傾向がある自治体:
- 東京都(性的マイノリティへの配慮を明示)
- 大阪市(先行認定の実績)
- 千葉市
- その他、性的マイノリティの権利に関する条例を整備した自治体
対応が不明確または消極的な傾向:
- 農村部・地方都市の一部
- 担当者の理解度に依存するケースが多い
同じ都道府県内でも、担当の児童福祉司によって温度差があることがある。「なぜ結婚しないのか」という質問が出ることもある。これに対して法的な同性婚がない日本の現状を前提として答える必要がある。
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申請プロセスで知っておくべきこと
パートナーの位置づけ
申請者が一方の場合、同居するパートナーは「協力者」として審査の対象となる。家庭訪問でパートナーが同席することになるため、事前に関係性についての説明の準備が必要だ。
「生活を共にする協力者として、養育に関与する」という立場を明確にしておくことが、スムーズな審査につながる。
担当者への伝え方
申請の際に性的指向をどこまで開示するかは申請者の判断だが、パートナーとの同居関係は家庭訪問で明らかになる。事前に「同性のパートナーがいる」と伝えておき、認定に対する自治体の方針を確認する方が、後のトラブルを避けやすい。
「この自治体でLGBTの里親申請の実績はありますか」と直接聞くことができる。答え方でその自治体の姿勢が大まかに把握できる。
NPOを活用する
レインボーフォスターケアや、LGBTフレンドリーなフォスタリング機関を通じて相談することで、経験のある担当者や自治体の情報を得やすくなる。申請前にこれらの団体に相談することを強く推奨する。
LGBTの子どもを受け入れる視点
里親がLGBTであることとは別に、里親家庭で育つ子どもの中にもLGBTの子どもがいる。10代になって性的指向や性自認について悩む子どもに対し、里親家庭がどう対応するかは重要な養育の課題だ。
こども家庭庁は2016年の法改正以降、「児童の権利の擁護」を社会的養護の基本原則に位置づけており、子どものアイデンティティの尊重はこの文脈に含まれる。LGBTフレンドリーな里親家庭の存在は、特定の子どものニーズに応える社会資源として重要性が高まっている。
現時点での結論
日本でLGBTカップルが里親になることは、法的に禁止されていないが、自治体によって対応が異なる。現実的なアプローチとして、一方が単身里親として申請し、もう一方を協力者とする形が多くの認定事例で採られている。
居住地の自治体の方針を事前に確認し、NPOの支援を活用することが、申請成功への近道だ。
日本の里親制度の全体的な仕組みと申請プロセスについてはこちらのガイドで詳しく解説している。LGBTカップルに特有の事情も含め、制度全体を理解した上で申請準備を進めることが、長期的な成功につながる。
まとめ
日本のLGBTカップルの里親認定は、法律上の禁止はなく、自治体の判断に委ねられている。2017年の大阪市の先行事例以降、複数の自治体での認定実績がある。申請の現実は自治体ごとに異なるが、NPOの支援と事前の情報収集によって対応可能だ。「LGBTだから里親になれない」という時代は、少なくとも制度の上では終わりつつある。
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