特別養子縁組の年齢制限・待機期間・かかる期間:2020年改正後の最新情報
2020年4月、特別養子縁組制度が大きく変わった。対象年齢の上限が「6歳未満(例外8歳未満)」から「原則15歳未満」へと引き上げられた。ただし「15歳未満ならすぐ申し立てられる」「待てば必ず縁組できる」という誤解は多い。実態はかなり異なる。
子どもの年齢制限:原則15歳未満
改正民法第817条の5は、特別養子縁組の成立審判申立て時点で、子どもが15歳未満であることを原則要件としている。
ただし次の2つの例外がある。
例外1:申立て時には15歳未満だったが、手続き中に15歳になった場合
申立て時に15歳未満であれば、審判確定時に15歳を超えていても縁組が認められる。申立てのタイミングが重要なため、15歳の誕生日が近い子どもの場合は手続きを急ぐ必要がある。
例外2:15歳に達する前から監護を継続しており、やむを得ない事情があった場合
15歳以前から養親候補者が継続的に監護しており、15歳までに申立てができなかった正当な理由(審判の遅延、行政上の問題など)がある場合は、18歳未満まで申立てが可能とされている。
養親の年齢要件
民法第817条の4は養親に年齢要件を設けている。
- 夫婦のいずれか一方が25歳以上であること
- もう一方は20歳以上であること
25歳未満の両者による縁組は認められない。上限年齢に法律上の規定はないが、実際の審査では「子どもが18歳になるまで養育できる健康状態か」が判断される。多くの民間機関は内部基準として「子どもとの年齢差が45〜50歳以内」を目安にしている。
「待機期間」の実態:数ヶ月から数年
特別養子縁組の「待機期間」とは、民間あっせん機関または児童相談所に養親候補者として登録されてから、実際に子どもを委託されるまでの期間のことだ。
民間あっせん機関の場合
待機期間は機関によって大きく異なり、数ヶ月から3〜4年に及ぶ場合もある。決定要因は主に3つだ。
- 機関に登録された養親候補者の数と子どもの数のバランス
- 実親の意向(年齢・家庭環境・価値観の好み)
- 養親候補者の属性(年齢・仕事・住居環境など)
申込み順が優先されるわけではない。ある機関では登録から3ヶ月でマッチングされた家庭がある一方、2年半待って縁組に至らなかった家庭もある。「待てば必ず来る」という保証はない。
児童相談所経由の場合
乳幼児(1歳未満)の委託は少なく、幼児〜学齢期の子どもが中心だ。待機期間は民間と同様に数年に及ぶことが多い。費用は実質ゼロだが、マッチングの主導権は行政側にある。
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手続き全体にかかる期間
特別養子縁組が成立するまでのトータルの期間を段階ごとに整理すると:
| 段階 | 目安期間 |
|---|---|
| 説明会参加・申込み・書類審査 | 1〜3ヶ月 |
| 審査・ホームスタディ | 1〜2ヶ月 |
| 待機(マッチングまで) | 数ヶ月〜数年(個人差大) |
| 委託後の監護期間 | 6ヶ月以上(法定) |
| 家庭裁判所の審判(二段階) | 3〜6ヶ月 |
| 合計(最短目安) | 約1年〜 |
多くの家庭では、申込みから縁組成立まで1〜3年かかる。不確実な待機期間をどう過ごすかが、精神的に最も難しい問題になる。
監護期間(試験養育期間)は省略できない
委託から縁組申立てまでの監護期間は民法第817条の8で「6ヶ月以上」と明定されている。この期間を短縮することは原則できない。
この6ヶ月間、子どもは事実上の家族として生活するが、法的な縁組はまだ確定していない。家庭裁判所の調査官が定期的に家庭を訪問し、養育状況を確認する。
「一緒に暮らしているのに、まだ法律上の親子じゃない」という期間の葛藤は、多くの養親が経験するものだ。
待機中にできる具体的な準備
待機期間は、縁組成立後の生活に向けた準備期間でもある。
- 育休の確認:養子縁組の場合も育児休業の対象になる(詳細は別記事参照)
- 真実告知の方法を学ぶ:民間機関が主催する研修・交流会への参加
- 家庭環境の整備:子ども部屋の準備、安全対策
- 家族・職場への説明の準備:親族にどう伝えるか
待機期間を「何もできない時間」として過ごすのと、「縁組後の生活に備える期間」として過ごすのとでは、実際に子どもが来たときの余裕に大きな差が出る。
日本の養子縁組ガイド(完全版)では、待機期間の精神的な乗り越え方、民間機関と児童相談所の比較、監護期間に家庭裁判所が何を見るかを具体的に解説している。
よくある質問
Q. 15歳の誕生日前日でも申立てはできますか?
可能だが、審判が確定する前に15歳になる可能性が高い。その場合も、申立て時点で15歳未満であれば縁組の審判は有効だ。締め切りが近い場合は家庭裁判所に早急に相談することを勧める。
Q. 待機期間中に別の機関にも登録することはできますか?
可能だが、機関によっては重複登録を禁止している場合がある。申込み時に確認すること。複数の機関に並行申込みするケースもあるが、いずれかでマッチングされた場合はもう一方を辞退する必要がある。
Q. 監護期間の6ヶ月は、委託前から数えることができますか?
原則として、家庭裁判所への申立てより前の監護実績も算入できる(民法第817条の8)。ただし「申立てより前の監護期間を含む」という運用が認められるかは、家裁の裁量による部分もある。実際の事情は担当弁護士や機関に確認すること。
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