普通養子縁組の手続きと流れ:届出から家庭裁判所の許可まで完全解説
普通養子縁組の手続きは、特別養子縁組と比べれば格段にシンプルだ。ただし「成人を養子にする場合」と「未成年を養子にする場合」で手続きがまったく異なる。どちらに該当するかを最初に確認することが出発点になる。
成人(20歳以上)を養子にする場合
成人同士の養子縁組は、当事者の合意だけで成立し、市区町村役場への届出のみで完了する。家庭裁判所の許可は不要だ。
必要書類
- 養子縁組届(市区町村役場に備え付け)
- 届出人(養親・養子)の印鑑
- 戸籍謄本(本籍地以外の役場に届け出る場合)
届出先は、養親または養子の本籍地か所在地の市区町村役場のいずれでもよい。費用は印鑑代のみで、行政手数料はかからない。
配偶者がいる場合の同意
養親または養子に配偶者がいる場合は、その配偶者の同意が必要だ(民法第796条)。配偶者がいるのに無断で養子縁組届を提出しても、後から取り消すことができる。
未成年(20歳未満)を養子にする場合
未成年者を養子にする場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要だ(民法第798条)。
ただし、例外がある。自分または配偶者の直系卑属(つまり実子や孫)を養子にする場合は、家裁の許可が不要で届出のみで成立する。再婚相手の連れ子を養子にする場合は、直系卑属ではなく「配偶者の直系卑属」に当たるが、2020年法改正後は家裁の許可が必要とされているため注意が必要だ。
家庭裁判所への申立て手順
1. 申立先の確認
養子(子ども)の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる。
2. 必要書類の準備
- 申立書(家裁書式、裁判所ウェブサイトからダウンロード可)
- 養親・養子の戸籍謄本
- 収入印紙800円(申立費用)
- 郵便切手(連絡用)
申立書には、養子縁組の動機(子どもを養育するためか、相続対策かなど)や養育環境を記載する。
3. 家庭裁判所の審査
裁判所は書面審査を中心に行うが、調査官が養親・養子にヒアリングを行うこともある。審査のポイントは「この縁組が子どもの利益に反しないか」だ。
- 縁組の動機が正当か(子どもを搾取する目的でないか)
- 子どもが適切な養育環境に置かれているか
- 養子(15歳以上の場合)が縁組に同意しているか
4. 許可審判と届出
許可審判が確定したら(確定まで通常2〜4週間)、審判書を添付して市区町村役場に養子縁組届を提出する。
審査期間は申立てから許可まで、通常1〜3ヶ月程度だ。複雑な事情がある場合はそれ以上かかることもある。
養子縁組の「合意」がなかった場合の取消し
養子縁組は「合意」が前提だ。意思能力のない状態で届け出た、騙されて届け出た、強制されたなどの場合は、家庭裁判所に「養子縁組の取消し」を申し立てることができる(民法第803条〜第808条)。
取消しが認められると、縁組は最初から成立しなかったものとして扱われる。ただし取消しには期限があるケースもあるため、問題が発生した場合は早めに弁護士に相談することが重要だ。
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養子縁組の届出後の変更・修正
戸籍の届出に誤りがあった場合は、家庭裁判所に「戸籍訂正の許可」を申し立てた上で、市区町村役場に訂正申請を行う。氏(姓)の変更については、縁組後の氏に変更した後に再び変更するのは原則として認められない(特別の事情がある場合は家裁に申立て可能)。
養子縁組届の提出から効力発生まで
養子縁組届が受理された時点で、法的な親子関係が発生する(民法第799条・第739条)。遡って効力が生じることはなく、届出日が法的な縁組成立日になる。
普通養子縁組の手続きはシンプルだが、その法的効果(相続・扶養・氏の変更など)は成立後の生活に大きな影響を与える。特に再婚家庭や親族間縁組では、他の家族関係との兼ね合いを整理してから届出を行うことが重要だ。
日本の養子縁組ガイド(完全版)では、普通養子縁組の申立書の書き方、家庭裁判所での審査準備、縁組後の戸籍と相続の整理方法を詳しく解説している。
よくある質問
Q. 15歳未満の子どもが養子縁組に反対している場合はどうなりますか?
15歳未満の場合、法定代理人(実親等)が代わりに意思表示を行う。ただし家庭裁判所は子どもの意向も参考にして審査する。15歳以上であれば、子ども本人の同意が縁組の有効要件だ。
Q. 海外在住でも日本の普通養子縁組の届出はできますか?
日本の在外公館(大使館・領事館)でも養子縁組届を受理してもらえる場合がある。現地の在外公館に確認を。
Q. 普通養子縁組の届出後に後悔した場合、取り消せますか?
単純な後悔を理由に届出を取り消すことはできない。取消しは詐欺・強迫などの法定事由がある場合に限られる。解消したい場合は「離縁」の手続きが必要になる。
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